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デザインシステム導入で成功するための8つのステップ

公開日

2024.11.07

デザインシステム導入で成功するための8つのステップのサムネイル

デザインシステムの導入は、単に効率を上げるためのツールにとどまらず、企業が一貫したブランド体験をユーザーに提供し、製品の品質を向上させるための戦略的な要素です。しかし、デザインシステムを効果的に導入するためには、計画的なステップを踏んで実施する必要があります。本記事では、デザインシステム導入を成功に導くための8つの具体的なステップを解説します。

1. 目標設定:デザインシステムの目的を明確にする

デザインシステムを導入する際には、まずその目的と期待される成果を明確に定義することが重要です。
デザインシステムは、さまざまなビジネスニーズに対応するためのフレームワークですが、企業の目指すゴールに応じてその内容やアプローチが異なります。
たとえば、ブランドの一貫性向上が主な目的であれば、視覚的なガイドラインの整備に注力する必要があるでしょう。一方、開発プロセスの効率化が目標であれば、開発チームと共有できるコードベースのコンポーネント化に重点を置くべきです。目標が明確であれば、導入に関わる各チームメンバーが目的を共有でき、プロジェクトがぶれることなく進行します。
目標を設定するためには、企業のビジョンや長期的な戦略を考慮し、デザインシステムを通じて達成したい具体的な成果をリストアップします。これにより、導入プロセスの進行状況を評価する基準も明確になり、成果を測定しやすくなります。

2. 現状の分析と要件定義

デザインシステムを効果的に導入するには、まず企業の現状のデザインや開発プロセスを徹底的に分析し、何が課題で、どこに改善の余地があるのかを洗い出す必要があります。
たとえば、デザインの一貫性に欠ける場面が多いのか、デザイナーとエンジニア間のコミュニケーションに問題があるのか、といった具体的な課題を特定します。
この分析を基に、デザインシステムで解決すべき要件を定義します。具体的には、どのようなコンポーネントが必要か、どの程度のアクセシビリティが求められるか、また、ガイドラインにどのような内容を含めるかなどを詳細に決定します。この段階で明確な要件を定義することで、システムの設計と開発の方向性が明確になり、導入がスムーズに進行します。

3. デザインと開発チームの連携強化

デザインシステムの導入は、デザイナーとエンジニアが一体となって取り組むプロジェクトです。
そのため、両者がスムーズに連携できる体制を整えることが成功の鍵となります。デザイナーとエンジニアの間で共通のツールや用語を設定し、双方がアクセスできるリソースを用意します。
また、共通のフレームワークやプロセスを構築することで、コミュニケーションを円滑にし、各チームがそれぞれの視点からデザインシステムに貢献できるようにします。
定期的なミーティングやワークショップを開催し、デザインシステムに関する意見交換や進捗確認を行うことも効果的です。
これにより、チーム全体でシステムの重要性を再認識し、システムが完成した後も一貫して使用・維持されるような意識が生まれます。
さらに、こうした対話を通じて、デザインと開発のギャップが埋まり、システムの実装がよりスムーズになります。

4. コアコンポーネントの作成とドキュメント化

デザインシステムの中核をなすのが、コアコンポーネントです。
ボタン、入力フィールド、ナビゲーションなど、頻繁に使用されるUI要素をコアコンポーネントとして定義し、それらを標準化することでシステム全体の一貫性が保たれます。これにより、異なるプロジェクトや異なるデザイナー・エンジニアが関わっても、同じデザイン基準で開発を進めることが可能になります。
また、各コンポーネントに対してその使用方法やスタイルガイドを詳細にドキュメント化することも重要です。ドキュメント化は、新しいチームメンバーがデザインシステムに迅速に適応するのに役立つだけでなく、コンポーネントの再利用性を高め、デザインや開発プロセスの一貫性を確保します。適切なドキュメントを整備することで、プロジェクトごとに再設計する手間が省け、時間とコストの削減が期待できます。

5. アクセシビリティガイドラインの組み込み

デザインシステムにアクセシビリティのガイドラインを組み込むことは、すべてのユーザーが平等に製品やサービスを利用できる環境を提供するために欠かせません。アクセシビリティの観点では、色のコントラスト比やフォントサイズ、ナビゲーションの操作性など、多様なユーザーに対応するための要件が求められます。
これらをシステムに標準として組み込むことで、デザイナーやエンジニアがアクセシビリティ要件を意識せずに自然に対応できる設計が実現します。
こうした取り組みは、ユーザーが製品をより使いやすく感じるだけでなく、企業の社会的責任を果たすことにもつながります。アクセシビリティを考慮したデザインシステムを構築することで、企業は法律や規制への適合性を確保し、すべてのユーザーにとっての価値を高められるのです。

6. ツールと技術の選定

デザインシステムをスムーズに構築し、効率的に運用するためには、適切なツールと技術の選定が不可欠です。
デザインと開発が連携しやすいツール、例えばFigmaやAdobe XDといったデザインツールや、コンポーネントを管理するためのフレームワークなどを活用し、チーム全体が使いやすい環境を整えることが重要です。
また、将来的なスケーラビリティや拡張性も考慮し、チームの成長やプロジェクトの規模に応じて柔軟に対応できるツールを選びます。適切なツールを選ぶことで、デザインと開発のプロセスが円滑になり、コンポーネントの再利用や更新が容易になります。また、ツールが統一されていると、情報共有もスムーズに行われるため、チーム間のコミュニケーションが向上し、デザインシステムの維持と管理が容易になります。

7. フィードバックループの確立

デザインシステムは一度完成すればそれで終わりというわけではなく、継続的な改善が必要です。
ユーザーからのフィードバックや、デザイナーやエンジニアからの意見を反映し、デザインシステムを改善するためのフィードバックループを確立します。たとえば、定期的な評価を行い、使用されているコンポーネントの有効性や、新たに必要とされる要素について議論する場を設けます。
フィードバックループを確立することで、デザインシステムが実際の使用状況や新たなニーズに適応し続けることが可能になります。このプロセスを通じて、デザインシステムは長期的に有効なリソースとして機能し、企業の変化や成長に対応できる柔軟性を持つようになります。

8. 継続的なメンテナンスとアップデート

デザインシステムは一度導入すれば永続的に使用できるものではなく、継続的なメンテナンスとアップデートが必要です。
新しいプロジェクトや追加要件に対応するために、システムを定期的に見直し、必要な更新を加えていくことで、システムの有効性を保つことができます。また、技術の進歩や業界のトレンドに合わせてデザインシステムを最新の状態に維持することも重要です。
この継続的なメンテナンスによって、企業はデザインシステムを効果的に運用し続け、ユーザーにとって使いやすく、競争力を維持できる製品を提供できます。さらに、更新が定期的に行われることで、デザインシステムが企業全体の成長を支える基盤として機能し続けます。

結論

デザインシステムの導入は、効率的な開発と一貫したユーザー体験の提供を実現するための強力な手段です。
この8つのステップに従い、計画的かつ継続的にデザインシステムを構築することで、企業は競争力を高め、ユーザーにとって価値ある体験を提供できるようになります。デザインシステムは、製品の品質や企業ブランドを長期的に支える要素であり、適切に導入・維持することで、企業のデジタル戦略をさらに強化するでしょう。

参考文献

著者:多賀 彩倉 / Sakura Taga
#デザインシステム